Saturday, October 27, 2001

[勝間通信」 田園の茶会

 勝間に移転したせいか、めっきり人と会うことが少なくなりました。
庭先に茶会用テーブルをセット
先日、猫仲間の彫刻家が、一度アトリエを覗いてみたいというので、日よりのいい日を狙って訪ねてきました。庭の手入れを終えたあとなので、見かけはよくなっています。部落から、細い路地路をあがって雑木と竹林に囲まれた古びた一軒家にお出で頂いたわけです。

 午前中、庭にテーブルと椅子、中国茶の茶器セットを持ち出しました。家から電源コードを引き、電気湯沸かしポットを、あとは来賓を待つのみ。

秋の爽やかな空気と穏やかな日差しのなか、二人の友人とお茶を楽しみます。途中から持参いただいた日本酒に世界情勢へと話は弾みます。それやこれやで、秋の太陽はつるべ落ち、向いの山並みに日がかかると、突然空気が冷たくなります。

 アトリエの中ではもう暖が必要です。ストーブと日本酒と熱い会話と、気がつけば外は真っ暗。今日は3ヶ月だったよなといっていたものの、すでに山の端に消えています。熱かった室内を考えれば、冷たい空気もまた味わいがあったかと思います。
ポーターブル中国茶器セットと電気湯沸かしポット

[勝間通信」 たまには自転車で肉体の鍛錬-PDAで走行記録

 昔の人は隠遁生活に入って晴耕雨読、という話を読んだものでした。晴耕雨読、これはかなり厳しい生活パターンです。厳しいというのは、好き勝手に生活しているのとは少し違う、晴れた日には畑にでで肉体を鍛え、雨の日は知識を蓄え脳味噌の活動を促すこと。こちらにきてから知ることになりました。

 アトリエでの活動は、どちらかというと脳味噌をいじくり回す方、椅子に吸い付いたままが多い。思っていた以上に肉体が疎かになります。自転車を活用することにしました。ただ乗り回すだけでは、これも脳がない。そこで、引き出しのなかに置き忘れていたPDAを使うことにします。

 PalmというPDAなのですが、このPDA用のソフトにサイクリングの記録を取るものがあります。走行距離、時間、最高最低速度などのログを取ってくれるもの。自転車の前輪のスポークとフレームに磁気を帯びた鉄の塊を取り付け、回転数を記録してくれるだけの単純なものですが、ソフトが優れていて、いろいろなデーターをわかりやすくグラフィカルに表示してくれます。

PalmPDAで走行時間・距離・速度を記録
ただただ走り続けるという事以外の魅力が加算され、我が身の体力の衰えを知り、次回走行への励ましのメッセージと受け取り、坂道などでの走り方に工夫が生まれました。定点活動の農耕とは違い、移動しながらの肉体の鍛錬、これはこれで意味のあるものと思っている次第です。

Monday, October 15, 2001

[勝間通信」 勝間の竹炭、海を渡る

 小学時代の友人は今、合衆国の西海岸メキシコ国境の町サンディエゴでスーパーのチェーン店を経営している。NIJIYAといえばご存じの方もいることでしょう。先週突然に勝間を訪れて、前回もらった竹の炭を店で売りたいといいます。日本のような、湿潤な環境で炭が使われるのと、乾燥したサンディエゴあたりでは売り方が違うわけです。しかし、当地では信じられないような値段で炭が売られているそうです。

 勿論中国産の安いものも出回っているそうですが、これは確かに質が悪い。勝間の竹炭は触っても粉が手に着いてこない。何かが違うから商売になるかも知れない、友人は考えたわけです。

 勝間には二人、炭焼きがいます。どちらの方も最近炭を焼き始めたばかりです。面白そうだと暇を見つけて窯をつくり、勝間一帯に自生する竹を炭にしていました。まあ、これがなかなかうまくいかない、生焼きだったり焼きすぎたりといい加減さが分からない。そうこうしているうちに本業が忙しくなりお二方、ほっぽっていました。

 国境の町で竹炭を売る、お一方が話に乗ってきました。さっそく試し焼きをして見本の出荷をすることになったのです。製品保証は勝間で、どう売るかは海の向こうで考えることになりました。楽しみな話です。

[勝間通信」 庭師はさすがに匠でした

湿潤な勝間の風景
夏のあいだじゅう、アトリエの整理などなどで畑をカミさん任せにしていたツケが回ってきました。庭先から辺り一面雑草で溢れかえってしまいました。庭木の枝も伸び放題、松の枝もボサボサです。ちょっと手に負えそうにありません。仕方なく庭師に入ってもらうことにしました。

雑草に始まり、庭木に雑木、崩れた段々、積まれたままだった切り倒した竹の始末。これで冬野菜の準備にかかれます。あとは刈り取った雑草と落ち葉を積み上げて堆肥をつくることです。

冬野菜に備えた畑
畑はアトリエの裏、斜面の上にあります。ほぼ三メートルの段差ですので、上がり下りが大変。そこで庭師が切り倒した雑木の枝を使って段々をつくってくれました。ほんの小一時間で二つの斜面に丸太の階段ができあがったのです。まあ、百姓のまねをしようと勝間に入ったのですから、これくらいのことは自分でやらなければならないのですが、まずはお手本を見せてもらうことになりました。

二年後には椎茸がでてくるホダギの元(庭師はいとも簡単に雑木で階段をつくった() 
残りの雑木の枝は椎茸づくりにと、日陰に積み上げてあります。庭師の手伝いできていたバッチャンが実にその辺りが詳しい。雑木に椎茸の菌をうちこむ時期とか、扱いの方法とか、ついでに干し柿の美味しい作り方まで教えを請うことができました。

その干し柿、今年は根持ち病とやらがはやったようで、実の多くが早々と落ちてしまいました。残ったわずかな実が熟すのを待ってつくることにしました。寒さが厳しい冬を期待することにします。

Monday, October 1, 2001

[勝間通信」 わが家の癒し系同居人

勝間アトリエの癒し系同居人
勝間では足早に秋が深まっています。来年を生き抜くために、生きとし生けるものが身体を小さくし始めました。銀ちゃん金ちゃんのヤンマトンボは姿を消し、赤とんぼが飛び回りはじめました。裏の雑木に生息していた青サギも、二周りも大きくなってつい先日姿を消しました。

 7月の猛暑は、柿の実を早々と落とす結果になりました。今年は甘い干し柿をあきらめるほかありません。ただ、毬を早めに作った栗はほくほくとして甘みを蓄えています。夏野菜も最後の収穫、実は小さいのですが、甘いトマトをいまでも楽しめることができます。
 
左からボボ・ビビ・チッチ。わが家の同居人です。不埒に家の中を動き回りますが、その大きさ故に癒し系の同居人として見て見ぬ振りをしています。

 左の彼は尿道結石を持病とし、さんざん獣医の世話になってきました。獣医が尿道管を太く短くする手術が必要と言って来たので、とんでもないと断り、自然治癒に切り替えました。目に輝きが無くなり、動きが鈍くなり、食事もほとんどとらず、猫塚の準備に取りかかったのですが、絶食は尿道への負担を軽くしたのか、いまでは身を引き締め軽々と動き回るほどに快復しました。

 彼、ボボは小さいときから内外かまわず失禁を繰り返してきました。数ヶ月に一度、通院しては尿を抜いてもらっていました。彼は病院に行くと体調がよくなるので、調子が悪くなると我々の目の前で失禁してみせます。それっと、獣医に連れて行っていたのがよくなかったようです。

 獣医は肥満が原因というので、いまではダイエットに励んでいます。体調はすこぶる良好の様子。人間も同じ動物です。癒し系から学ばされました。