Sunday, August 26, 2001

[勝間通信」 お盆が過ぎて秋がやってきた

台風一過、と思いきや、房総半島方面ではあまり影響ありませんでした。

ようやく事務所のなかが体裁を整えました。ほぼ二週間かかっての改装。「できることは自分でやる」で、床の補強と仕上げ材の張り込み、電話回線とLANの引き回しに、ブラインド吊り込みを。「必要?不要!」で、納屋の裏はゴミ?の山に。(ほんの一月前まで東京の事務所に置かれたものだったのに)
久しぶりに見た澄んだ雲 Aug/18/01
八月に入って千葉は冷夏ですが、水道水が急に冷たくなりました。ぬるま湯のようだった水も、手に気持ちよく感じられます。お盆が過ぎた18日、空は秋雲に。これから空気を美味しく吸えそうです。

[勝間通信」 伝統的日本家屋を事務所に改装

四十年経た伝統的日本の農家を事務所に改装しました。日本家屋、捨てたものではありません。千葉など温暖な環境では、高温多湿の日本の気候でも、日本家屋はやはり住むのに一番ではないでしょうか。屋根は瓦ですが、もし茅葺きならば夏涼しく、冬暖かい(お断りしておきます、我慢できる範囲ということで)、環境建築の代表といえそうです。
エントランス/和紙のロールブラインド
伝統的な日本の民家は、柱、梁だけのユニバーサルな構造システム(今の建築法規では許されていませんが、かつての和小屋は独立基礎の貫構造で、すぐれた免震性能を持っていました)、完全なモジュールで、畳・襖・障子など、スタンダードとして認知されていましたから、汎用性の高いものでした。

民家に使われた材料は、主にその土地で生産される自然の材料を使っていましたから、その土地土地での建物に工夫が必要でした。「地産地消」が原則ですから、流通に左右されることはありません。地方地方で、オリジナリティーの高い民家をよく目にすることができたものです。日本の民家が環境的建築といわれた所以でしょう。(世界のなかでも、「地産地消」で造られた民家はみなそうです)
会議室 昼と夜-1/二間六間のユニバーサル・スペース
東京の事務所であつらえた本箱や書類箱などは、移転が決まっていましたので、あらかじめモジュールに沿って設計しておきました。勝間に移っても、襖や障子をはめ込むように配置することができ、違和感もありません。
テーブル奥は中国茶器セットの台
来所の際には烏龍茶でおもてなしいたします
会議室 昼と夜-2/アトリエとエントランスを見る 
アトリエとの境は二間をアルミのブラインドで仕切る
職住一致で時間の余裕が生まれます。今までが往復4時間でしたから、いかに電車のなかで人間動物園の観察に使われていたことでしょうか。いまは、それに変えてお茶の時間に使っています。台湾で仕事をしていた際、あちらの会長さんが、酔った勢いで中国茶のポータブル茶会セットを購入、それを頂いたものです。ようやく相応しい場所がみつかりました。

簡素ですが、上質な時間を過ごしています。

Wednesday, August 15, 2001

[勝間通信」 雨不足の夏がつくってくれた勝間の野菜

7年前、鳥取の高原野菜畑で息をするとのどが熱かった体験を、今年も味わうことになりました。それも事務所の建て替えで移転しなければならない時期に重なるとは。それにしても余計なものが山のようだったとは。

・野菜が旨い!雨不足の夏がつくってくれた勝間の野菜

 今年の夏野菜はみずみずしく、甘く、味があります。梅雨時に雨が少なかったからだそうです。雨不足で困っている農家には申し訳ないのですが、家の裏が畑です。土が乾けば水が撒けます。おかげで毎日の食卓は野菜畑。畑は芸術家ですね。(写真)夏野菜の陳列

(写真)夏の桜、サルスベリの花
・夏の桜と突然のハナビ

玄関前のサルスベリ、今年の暑さはここでも見事な造形を作り出しました。夏に咲く桜の風情です。友人は、敗戦の8月に見た夾竹桃の薄い桃色の花を、暑さが厳しい夏になると思い出すと話していました。

招かれざる客は突然に来ました。出かけて戻ると、納屋の庇の下に野良犬が休んでいました。やけに人なつっこく、挨拶代わりにしっぽを振って待っていました。吠えることもなく、騒がしくもなく、少し前足を傷つけ、空腹そうでした。一応のしつけは心得ていて、他人様の命令にも従順に従います。柴犬の雌の雑種でしょうか、時節柄、「ハナビ」と呼ぶことにしました。
犬は飼ったことがないので、対応がわかりません。わが家にはすでに3匹の猫がいます。猫は「猫なで声」でやってきても、「猫っ可愛がり」しています。みな好き勝手にやっていますので、犬を飼うには、上下関係を明確にしなければならないらしくて、そんな生活には人間様がなじめません。それに、猫は保健所に登録する義務はありませんが、犬にはいろいろ束縛があります。

東谷(わが家がある棚田の谷はそう呼ばれています)のとこでは野良犬を飼っているらしいと、部落では早速話題になってしまいました。本格的に飼うとなれば厄介、しかしハナビを拘束するつもりもありません。ルール違反になるので、保健所に引き取ってもらおうかということになりました。しかし、その結末は知っていますから、気乗りしません。一週間十日と過ぎていきます。

猫たちともある距離を置いてつき合いも出きるようになり、夜の散歩には一家総出で部落の入り口まで降りて戻ってきます。猫たちは草むらに寄り道をしながら、ハナビは先頭を切って、人間様は夜の冷気を楽しんできます(さすがにこの暑さでも、太陽が落ちると徐々に涼しさがやってきます)。

異変を感じたのはそれから、お腹が大きくなってきたのです。はじめてハナビの生い立ちを考えました。自分たちのことすら十分に管理できない人間どもにとって、新しい生命への保証はできません。首輪を外した飼い主を避難するつもりはありませんが、昨今の人間社会の縮図を目の前にすることになったのです。

保健所の職員は、いつものことのようにやってきて、ハナビは東谷を離れていきました。夏のハナビ、一瞬の夏。