Sunday, February 2, 2003

[勝間の竹炭-2] 炭焼小屋

 園芸屋さんの炭焼きは半年で終わります。県道沿いに小さな構えのお店を出し竹炭を売りに出してみますが、どうも思わしくなかったのでしょう、しばらくして店をたたんでしまいました。人手がかかる割に売値を上げられなかったのかもしれません。経済効果は得られませんでした。

園芸屋さんが炭を焼き始めてしばらくすると、部落のもう一角で炭が焼かれ始めました。もうひとかたが挑戦したのです。その当時はあまり気にかけていませんでしたので解りませんでしたが、後でお話を聞いたところ、どんな釜がいいかあれこれ挑戦していたのだそうです。

 炭は長時間かけて蒸し焼きにしてできあがります。ですから窯の温度がすぐに冷めては困ります。窯のなかでは、熱が炭全体に均等に回ってほしいので、燃やし始めには窯のなかの空気の流れに気をつけなければなりません。竹の仕込みに一日、燃焼に一日、熱を冷ますのに一日、一回の炭焼きに三日間は必要です。竹をどの大きさで炭にするのか、その作業場は、窯の薪はどこに置くのか、火の具合を観察するにはどうすればやりやすいか、焼いている最中に出る竹酢をどこで受け止めて溜めるか、等々炭焼きもそう簡単ではなさそうです。

もうひとかたの炭焼き人、弓削田さんといいます。炭焼き小屋は自宅の前、自家用菜園の一角に建てられています。この菜園、有機・無農薬菜園なのですが、一見すると雑草で覆われているようです。野菜と季節の花と堆肥の山と・・・それらが渾然一体。自然の有様そのままを再現しているかのようです。その一角に写真のような小屋ができあがりました。その特徴は長く斜めにつきだした煙突。あれやこれやの結果がこの姿になったようです。

 窯のしつらえにも相当時間を費やしたとのこと。あれこれと工夫に工夫が加えられています。それらをお一人でやってしまったことが凄いですね。お百姓はやはり「百の匠」、百匠でした。(つづく)