Tuesday, April 30, 2002

[勝間通信」 満八歳を迎えたミニ、古き良きイギリスの匂いはいずこへ

 代々木の事務所時代、都市生活者に必要な移動手段は小型・省エネ、と購入したのが車のミニとミニのラバーサスペンション(これが面白い!)を設計したアレックス・モールトン博士デザインの自転車。

 ところが、数年も経たないうちに田園の勝間へ。勝間で必要なのは、バンもしくはピックアップ。所有していたルノーのバンは、娘の手に渡ってしまった。とはいえ、ミニは最小限住宅のコンセプト・モデルみたいなもの。数ではビートルに負けるが、20世紀後半、大衆小型車の概念を築き上げた革命的な車であることは間違いない。で、維持費はかかるのですが手放せないでいるのです。

納屋の下に収まるミニ 立派に現役である 
但し年間の整備費はすごい!
で、新に購入したい車も思い浮かばなかったのですが、物欲が湧いてきました。手放したルノーの次期モデルが簡単に日本で入手できるようになったからです。それも非常にリーズナブルな価格で。カンガルー、いや失礼フランス語でカングーと呼ばれています。

[勝間通信」 雨、暖かさの代わりにしばし畑は雨

 5月は五月晴れ、それが相場です。今年はどうも違うようです。3月がまるで五月の気候だったせいでしょうか、4月にはいると曇り空が多いようです。4月後半からは、雨空で勝間は畑を合間合間でしなければなりません。雑草も例年より早く育っていますから、大変です。

 勝間では田植えが先々週、先週に終えられました。これも例年より早い。隣のバッチャンの田んぼも、早朝に機械が入ってほんのわずかで終えてしまいました。例年は、一家総出で儀式のように見守っていたのですが、それも今年はありません。下の田んぼでもあまり総出の姿を見ませんでした。田んぼの神さんがサボってでてこなかったのでしょうか。

雨でモヤル棚田 アトリエ下の田んぼにも水が張られる 
棚田は機械で整形になっている  数日しないうちに田植えが行われた

Thursday, April 4, 2002

[勝間通信」 蛙・鴬そして春雷 (Sound Memo)

 早い!暑い!勝間は初夏、田んぼに蛙・竹に鴬・夜空に春雷

・SoundMemo01 <田んぼに蛙・夜空に春雷> (.wav 150K)→Frog&Thunder

・SoundMemo02 <竹に鴬> (.wav145K)→Uguisu

[勝間通信」 この異常な暖かさ、隣のバッチャンは野菜のできを心配している

 早い!暑い!勝間は初夏。田んぼに水を引いていた隣の畑のバッチャンに聞く。

 大 「暑いですね。田植えも早くなるんですか?」
 バ 「苗はいつも通りだよ」
 大 「ふーん」
 バ 「野菜が心配だよ。野菜だっていつ生長するかわかってっからね」
 バ 「こんな暑さが続けば、今年は(野菜は)みんなやられっちゃうかもな」

 道理ですね。畑からは世の道理教わりますね。

代々木の事務所にいたときには気がつかなかった
菜の花の香りが風にのってやってきます
しかしこの気候、例年より庭にでて朝食を取ることが早まりました。でも、夏はどうなってしまうのでしょう?いや、自然の摂理でけっこう秋が早まったりするのかもしれません。

アトリエの庭 例年なら5月はじめの光景です

[勝間通信」 ブリキ猫の贈り物

 昨年初冬、彫刻家で東アジアを一緒に旅した小林梨風氏が友人とアトリエにやってきました。私同様ネコフリークの彼は、我が家の猫どもをカメラに収めていきました。その時の返礼として、先日ブリキイタでつくられたレリーフ?が手元に届きました。さっそくアトリエの入り口、表札の上に取り付けてみます。(梨風さんありがとうございました)

アトリエ入り口のブリキ猫 (作者:小林 梨風氏)

[勝間通信」 裏山はイヌ棄て山か?民度が問われる千葉の経済環境

 先日、知人が勝間にやってきた。「猫びより」という雑誌の編集をしている方だ。うちの子供たちも何度かご厄介になったことがある。彼女はいずれは農家に住んでみたいというご夫婦と同行した。我々はアトリエの周りを一通り見たあと、裏山の奥にある牧場を久しぶりに訪れてみた。

 上総は丘が多い。丘のてっぺんは多くが畑になっており、谷の田んぼとてっぺんの畑の中間に雑木と人家がある。アトリエの裏山の牧場は、もともと隣り部落の畑だったものだが、バブル期にハウスメーカーが宅地を建てるために買い取ったという。しかし、そんな試みも経済の破綻でとん挫、ハウスメーカーは土地を手放し、牧場経営を夢見た人間の手に渡った。 勝間に移ってきた頃には、辺り一面牧草が生い茂り、牛も牧舎を賑わしていた。

 勝間部落の道祖神から、小径をあがってアトリエを右に見ながら雑木の中にはいる。そこを出ると尾根路に至る。牧場はそこから入る。入るというより、隣り部落への街道なのだ。街道を挟んで牧草地があり、経営者の住まいがある。以前、住まいの周りには子供の遊び道具が乱雑に散らかっていた。玄関の脇には犬小屋があり、小径を通り過ぎると吠えかかってきたものだ。が、今その声はない。住まいに人の気配もない。

 一体いつ頃から勝間周辺は変わり始めたのだろうか。特に隣り部落の変化は激しい。谷筋の多くが産廃の投棄場所になってしまった。尾根筋(隣り部落との境)から隣り部落に下がる谷間は、すでに二カ所が埋め尽くされ、さらに一カ所準備が始められていた。大型のダンプカーが尾根路を出入りしているのも眺められた。 首輪をした毛並みのいい黒毛の犬が工事現場から飛び出してきて、我々を追いかけてきた。牧場主の飼い犬だったのだろうか、思い出してみるもわからないまま、アトリエに戻った。

田んぼの畦の迷いアフガンハウンド(らしい)
首輪をしていたが鑑札は見あたらなかった
その日から二三日後のこと、家の中に猫子たちが飛び込んできた。外に出てみると、裏の畑に先日の黒犬がもう一匹、白い子犬をつれて訪れてきた。二人の首輪はまだ新しいものだった。白い子犬とはお初である。しばらく吠え声をあげていたものの、いつの間にか姿を消していた。

毛は汚れているものの実に威風堂々の容姿
翌日、今度は隣の畑である。穏やかな日差しのなかで、大きな姿が横たわっている。横たわった後に動かない。おいおいおい大丈夫かよ、何で里にこんなに犬が降りてくるんだ。カメラを手に庭に降りると起きあがってきた。心配をよそにその犬は気持ちよさそうに昼寝をしていた。大きい!でかい!高い!どうもアフガンハウンドらしい。白い毛並みにはブラシも入っていない。薄汚れて灰色、手入れが不十分のようだ。首輪はあるものの、鑑札も見あたらない。

 裏山は犬棄て山なのか?このところ畑にやってきたお犬さんはみな、どうみても由緒正しそうだ。以前わが家で最後のひとときを過ごした雑種とは全く違う。これでは千葉県民の民度が疑われる。千葉県の就業構造は建設業が過半を占めている。おかげでこのところの経済環境が風景にも現れている。多くの里山が残されていた上総も、谷間が産廃で埋められていく。そして人影のない山間に、首輪を残した犬の姿が突然に現れたのだ。

[勝間通信」 節分過ぎて畑の準備始まる勝間部落

春祈祷の御幣 
左の坂は我がアトリエ、そして隣り部落へ続く小径
前回お話しした春祈祷、節分が過ぎ、今年も部落に通じる道々に御幣が飾られました。田畑が残っている限り、百姓は今年の豊作を願い続けます。息子たちは見放しても、年寄りたちは御幣を飾りました。いいですね。いつまでも続けてほしいものです。