Thursday, June 16, 2005

[農暦5月10日] 「赤いろうそくと人魚」

[農暦] 5月10日 [新暦] 6月16日 [月齢] 9.3 宵月 [潮汐] 長潮 [天気] 小雨

一年前の春、高校時代の友人との集まりのことです。この集まり、毎回テーマを出し合って話をします。このときは確か”いちばん影響を受けた本”というもの だったと思います。私が取り上げたのは小川未明という童話作家の「赤いろうそくと人魚」でした。”影響を受けた・・・”というより、記憶に残ってい る・・・といった方が正しいでしょうか。

小学生時代、かなり年上の姉からのお下がりとして手にしたものです。布貼りのしっかり製本された古めかしいものでしたが、挿絵に強く惹かれるものがありま した。白黒で、暗く、憂鬱でした。もしかしたら赤いろうそくは部分印刷で着色されていたかもしれません。すまいを勝間に移転する前までは、本棚から簡単に 探し出せたはずです。今は納屋の奥深く、積み上げられた段ボールのどこかに収まっているはずです・・・
「赤いろうそくと人魚」、これまで十年に一度くらいで再読してきました。なぜか読みたくなるのです。またぞろ目 を通したかったのですが、探し出せず、アマゾンで購入、今日届きました。ものの十分で読み終えることができます。しかしちょっと雰囲気が違う。もとは「赤 い蝋燭と人魚」だったし、本の最初に「現代かなづかい、現代送りがなを使用した」と断りがありました。挿絵も色つきです。それでも日本海側の気候風土が醸 し出す独特な雰囲気は味わえました。

友人が読破した本を送ってくれます。ちかごろ話題になったものなど多彩な内容です。私はそんな本たちに酔ってしまいそうです。子供の頃に深く刻まれた記憶をひもといては、酔いを覚ますことにしています。

[少年少女日本文学館14 「赤いろうそくと人魚」 著者:小川未明・坪田譲治・浜田広介 発行所:講談社]

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