Saturday, October 27, 2001

[勝間通信」 たまには自転車で肉体の鍛錬-PDAで走行記録

 昔の人は隠遁生活に入って晴耕雨読、という話を読んだものでした。晴耕雨読、これはかなり厳しい生活パターンです。厳しいというのは、好き勝手に生活しているのとは少し違う、晴れた日には畑にでで肉体を鍛え、雨の日は知識を蓄え脳味噌の活動を促すこと。こちらにきてから知ることになりました。

 アトリエでの活動は、どちらかというと脳味噌をいじくり回す方、椅子に吸い付いたままが多い。思っていた以上に肉体が疎かになります。自転車を活用することにしました。ただ乗り回すだけでは、これも脳がない。そこで、引き出しのなかに置き忘れていたPDAを使うことにします。

 PalmというPDAなのですが、このPDA用のソフトにサイクリングの記録を取るものがあります。走行距離、時間、最高最低速度などのログを取ってくれるもの。自転車の前輪のスポークとフレームに磁気を帯びた鉄の塊を取り付け、回転数を記録してくれるだけの単純なものですが、ソフトが優れていて、いろいろなデーターをわかりやすくグラフィカルに表示してくれます。

PalmPDAで走行時間・距離・速度を記録
ただただ走り続けるという事以外の魅力が加算され、我が身の体力の衰えを知り、次回走行への励ましのメッセージと受け取り、坂道などでの走り方に工夫が生まれました。定点活動の農耕とは違い、移動しながらの肉体の鍛錬、これはこれで意味のあるものと思っている次第です。

Monday, October 15, 2001

[勝間通信」 勝間の竹炭、海を渡る

 小学時代の友人は今、合衆国の西海岸メキシコ国境の町サンディエゴでスーパーのチェーン店を経営している。NIJIYAといえばご存じの方もいることでしょう。先週突然に勝間を訪れて、前回もらった竹の炭を店で売りたいといいます。日本のような、湿潤な環境で炭が使われるのと、乾燥したサンディエゴあたりでは売り方が違うわけです。しかし、当地では信じられないような値段で炭が売られているそうです。

 勿論中国産の安いものも出回っているそうですが、これは確かに質が悪い。勝間の竹炭は触っても粉が手に着いてこない。何かが違うから商売になるかも知れない、友人は考えたわけです。

 勝間には二人、炭焼きがいます。どちらの方も最近炭を焼き始めたばかりです。面白そうだと暇を見つけて窯をつくり、勝間一帯に自生する竹を炭にしていました。まあ、これがなかなかうまくいかない、生焼きだったり焼きすぎたりといい加減さが分からない。そうこうしているうちに本業が忙しくなりお二方、ほっぽっていました。

 国境の町で竹炭を売る、お一方が話に乗ってきました。さっそく試し焼きをして見本の出荷をすることになったのです。製品保証は勝間で、どう売るかは海の向こうで考えることになりました。楽しみな話です。

[勝間通信」 庭師はさすがに匠でした

湿潤な勝間の風景
夏のあいだじゅう、アトリエの整理などなどで畑をカミさん任せにしていたツケが回ってきました。庭先から辺り一面雑草で溢れかえってしまいました。庭木の枝も伸び放題、松の枝もボサボサです。ちょっと手に負えそうにありません。仕方なく庭師に入ってもらうことにしました。

雑草に始まり、庭木に雑木、崩れた段々、積まれたままだった切り倒した竹の始末。これで冬野菜の準備にかかれます。あとは刈り取った雑草と落ち葉を積み上げて堆肥をつくることです。

冬野菜に備えた畑
畑はアトリエの裏、斜面の上にあります。ほぼ三メートルの段差ですので、上がり下りが大変。そこで庭師が切り倒した雑木の枝を使って段々をつくってくれました。ほんの小一時間で二つの斜面に丸太の階段ができあがったのです。まあ、百姓のまねをしようと勝間に入ったのですから、これくらいのことは自分でやらなければならないのですが、まずはお手本を見せてもらうことになりました。

二年後には椎茸がでてくるホダギの元(庭師はいとも簡単に雑木で階段をつくった() 
残りの雑木の枝は椎茸づくりにと、日陰に積み上げてあります。庭師の手伝いできていたバッチャンが実にその辺りが詳しい。雑木に椎茸の菌をうちこむ時期とか、扱いの方法とか、ついでに干し柿の美味しい作り方まで教えを請うことができました。

その干し柿、今年は根持ち病とやらがはやったようで、実の多くが早々と落ちてしまいました。残ったわずかな実が熟すのを待ってつくることにしました。寒さが厳しい冬を期待することにします。

Monday, October 1, 2001

[勝間通信」 わが家の癒し系同居人

勝間アトリエの癒し系同居人
勝間では足早に秋が深まっています。来年を生き抜くために、生きとし生けるものが身体を小さくし始めました。銀ちゃん金ちゃんのヤンマトンボは姿を消し、赤とんぼが飛び回りはじめました。裏の雑木に生息していた青サギも、二周りも大きくなってつい先日姿を消しました。

 7月の猛暑は、柿の実を早々と落とす結果になりました。今年は甘い干し柿をあきらめるほかありません。ただ、毬を早めに作った栗はほくほくとして甘みを蓄えています。夏野菜も最後の収穫、実は小さいのですが、甘いトマトをいまでも楽しめることができます。
 
左からボボ・ビビ・チッチ。わが家の同居人です。不埒に家の中を動き回りますが、その大きさ故に癒し系の同居人として見て見ぬ振りをしています。

 左の彼は尿道結石を持病とし、さんざん獣医の世話になってきました。獣医が尿道管を太く短くする手術が必要と言って来たので、とんでもないと断り、自然治癒に切り替えました。目に輝きが無くなり、動きが鈍くなり、食事もほとんどとらず、猫塚の準備に取りかかったのですが、絶食は尿道への負担を軽くしたのか、いまでは身を引き締め軽々と動き回るほどに快復しました。

 彼、ボボは小さいときから内外かまわず失禁を繰り返してきました。数ヶ月に一度、通院しては尿を抜いてもらっていました。彼は病院に行くと体調がよくなるので、調子が悪くなると我々の目の前で失禁してみせます。それっと、獣医に連れて行っていたのがよくなかったようです。

 獣医は肥満が原因というので、いまではダイエットに励んでいます。体調はすこぶる良好の様子。人間も同じ動物です。癒し系から学ばされました。

Sunday, August 26, 2001

[勝間通信」 お盆が過ぎて秋がやってきた

台風一過、と思いきや、房総半島方面ではあまり影響ありませんでした。

ようやく事務所のなかが体裁を整えました。ほぼ二週間かかっての改装。「できることは自分でやる」で、床の補強と仕上げ材の張り込み、電話回線とLANの引き回しに、ブラインド吊り込みを。「必要?不要!」で、納屋の裏はゴミ?の山に。(ほんの一月前まで東京の事務所に置かれたものだったのに)
久しぶりに見た澄んだ雲 Aug/18/01
八月に入って千葉は冷夏ですが、水道水が急に冷たくなりました。ぬるま湯のようだった水も、手に気持ちよく感じられます。お盆が過ぎた18日、空は秋雲に。これから空気を美味しく吸えそうです。

[勝間通信」 伝統的日本家屋を事務所に改装

四十年経た伝統的日本の農家を事務所に改装しました。日本家屋、捨てたものではありません。千葉など温暖な環境では、高温多湿の日本の気候でも、日本家屋はやはり住むのに一番ではないでしょうか。屋根は瓦ですが、もし茅葺きならば夏涼しく、冬暖かい(お断りしておきます、我慢できる範囲ということで)、環境建築の代表といえそうです。
エントランス/和紙のロールブラインド
伝統的な日本の民家は、柱、梁だけのユニバーサルな構造システム(今の建築法規では許されていませんが、かつての和小屋は独立基礎の貫構造で、すぐれた免震性能を持っていました)、完全なモジュールで、畳・襖・障子など、スタンダードとして認知されていましたから、汎用性の高いものでした。

民家に使われた材料は、主にその土地で生産される自然の材料を使っていましたから、その土地土地での建物に工夫が必要でした。「地産地消」が原則ですから、流通に左右されることはありません。地方地方で、オリジナリティーの高い民家をよく目にすることができたものです。日本の民家が環境的建築といわれた所以でしょう。(世界のなかでも、「地産地消」で造られた民家はみなそうです)
会議室 昼と夜-1/二間六間のユニバーサル・スペース
東京の事務所であつらえた本箱や書類箱などは、移転が決まっていましたので、あらかじめモジュールに沿って設計しておきました。勝間に移っても、襖や障子をはめ込むように配置することができ、違和感もありません。
テーブル奥は中国茶器セットの台
来所の際には烏龍茶でおもてなしいたします
会議室 昼と夜-2/アトリエとエントランスを見る 
アトリエとの境は二間をアルミのブラインドで仕切る
職住一致で時間の余裕が生まれます。今までが往復4時間でしたから、いかに電車のなかで人間動物園の観察に使われていたことでしょうか。いまは、それに変えてお茶の時間に使っています。台湾で仕事をしていた際、あちらの会長さんが、酔った勢いで中国茶のポータブル茶会セットを購入、それを頂いたものです。ようやく相応しい場所がみつかりました。

簡素ですが、上質な時間を過ごしています。

Wednesday, August 15, 2001

[勝間通信」 雨不足の夏がつくってくれた勝間の野菜

7年前、鳥取の高原野菜畑で息をするとのどが熱かった体験を、今年も味わうことになりました。それも事務所の建て替えで移転しなければならない時期に重なるとは。それにしても余計なものが山のようだったとは。

・野菜が旨い!雨不足の夏がつくってくれた勝間の野菜

 今年の夏野菜はみずみずしく、甘く、味があります。梅雨時に雨が少なかったからだそうです。雨不足で困っている農家には申し訳ないのですが、家の裏が畑です。土が乾けば水が撒けます。おかげで毎日の食卓は野菜畑。畑は芸術家ですね。(写真)夏野菜の陳列

(写真)夏の桜、サルスベリの花
・夏の桜と突然のハナビ

玄関前のサルスベリ、今年の暑さはここでも見事な造形を作り出しました。夏に咲く桜の風情です。友人は、敗戦の8月に見た夾竹桃の薄い桃色の花を、暑さが厳しい夏になると思い出すと話していました。

招かれざる客は突然に来ました。出かけて戻ると、納屋の庇の下に野良犬が休んでいました。やけに人なつっこく、挨拶代わりにしっぽを振って待っていました。吠えることもなく、騒がしくもなく、少し前足を傷つけ、空腹そうでした。一応のしつけは心得ていて、他人様の命令にも従順に従います。柴犬の雌の雑種でしょうか、時節柄、「ハナビ」と呼ぶことにしました。
犬は飼ったことがないので、対応がわかりません。わが家にはすでに3匹の猫がいます。猫は「猫なで声」でやってきても、「猫っ可愛がり」しています。みな好き勝手にやっていますので、犬を飼うには、上下関係を明確にしなければならないらしくて、そんな生活には人間様がなじめません。それに、猫は保健所に登録する義務はありませんが、犬にはいろいろ束縛があります。

東谷(わが家がある棚田の谷はそう呼ばれています)のとこでは野良犬を飼っているらしいと、部落では早速話題になってしまいました。本格的に飼うとなれば厄介、しかしハナビを拘束するつもりもありません。ルール違反になるので、保健所に引き取ってもらおうかということになりました。しかし、その結末は知っていますから、気乗りしません。一週間十日と過ぎていきます。

猫たちともある距離を置いてつき合いも出きるようになり、夜の散歩には一家総出で部落の入り口まで降りて戻ってきます。猫たちは草むらに寄り道をしながら、ハナビは先頭を切って、人間様は夜の冷気を楽しんできます(さすがにこの暑さでも、太陽が落ちると徐々に涼しさがやってきます)。

異変を感じたのはそれから、お腹が大きくなってきたのです。はじめてハナビの生い立ちを考えました。自分たちのことすら十分に管理できない人間どもにとって、新しい生命への保証はできません。首輪を外した飼い主を避難するつもりはありませんが、昨今の人間社会の縮図を目の前にすることになったのです。

保健所の職員は、いつものことのようにやってきて、ハナビは東谷を離れていきました。夏のハナビ、一瞬の夏。